第16回 「チャンス・ボートF4U−1 コルセア」を作る。
タミヤ1/72のF4U−1 コルセアです。パーツはこれ+クリアー1枚。
ただし・・・バリエーション展開の関係で、不要部品も結構あります。
1.コックピット制作
シートとコンソール関係。 これで3パーツ。面白いパーツ割りになってます。
シートはファインモールドのエッチングを付ける予定。
主脚収納庫の一部。
組むとゲート痕が見えなくなるところなので、接着に干渉しないよう、ナイフでざっとさらう程度で済ませました・・・
気合と手抜きはバランスが大事(笑)。 2パーツで「ビフォー・アフター」として見てください。
機体内部塗装として、 C27(機体内部色)を吹いてみました。 暗めの黄緑色です。
エンジンカウルの内側までこの色というのは、どうも落ち着かないな(苦笑)
計器盤とシート、粗塗り状態です
計器盤はC116(RLM66 ブラックグレー)で透け防止として塗りました。その他は機体内部色のまま。
コンソールを塗り分け、計器のデカールを貼った状態です
コンソールも基本色はC116。資料を見ながらボタン・レバー類を黒・白・赤・銀で塗装して引き立てています。
デカールは白黒2色きりなので、貼ったあとで赤などを足しています。あと貼り損なった左下はこっそり筆でリタッチ。
地道に下塗り、仕込んどいて良かった!
いつものごとくウソ部分ばかりなので資料性はありません(笑)。
操縦桿を取り付け、上の両パーツを接着した状態です
ファインモールドの米軍機用シートベルトを接着。
米軍は陸海軍とも共通のベルトなんですね。燃料や兵装も共通だし、生産・補給が合理的!
エッチングはライターで焼きなましてからエッチングハサミで切り出し、ベルト本体をC19(サンディブラウン)、
金具をガイアカラーのブライトシルバーで塗り分けました。接着剤は金属とプラを付けるので木工用ボンドを使用し、点づけしました。
この写真だとベルトが若干座席から浮いてしまっていますが、固まってからピンセットで押し付けて座席のアールになじませます。
2.胴体関係の工作
プラット&ホイットニー・ダブルワスプエンジンを組み立てたところ。
おおむね、インストの色指定に近い色合い(タミヤアクリルではなく、Mr.カラーとガイアカラー使用のため)で筆塗りしています。
カウルがピッタリ重なるので、プラグコード追加やパイピングなどはやっていません・・・素組みです。
開状態のカウルフラップを接着した状態。
キットに最初から開閉2種類のカウルフラップを同梱しているのはグータラモデラーにとって有難いサービス(笑)。
迷うことなく「開」を選びました。この段階で、タミヤエナメルのフラットブラックを希釈してエンジンにスミ入れをしました。
写真はシリンダーの溝だとスミ入れ効果が判りにくいですが、クランクケース前面のボルト周りなどは陰影が強調されています。
エンジンを胴体に接着。胴体、主翼は特に面倒となる箇所もなく、粛々と出来上がりました。
模型に粛々って変な表現ですが・・・。若干主翼と胴体にスキマが出来たので、それを埋める工作は改めて紹介します。
コルセア制作日記5
今回はパーツの隙間埋めがテーマです。
自分が隙間埋めに愛用するラッカーパテ。
溶剤で簡単に溶きパテにすることができ、固化も早いので光硬化パテなど新製品と較べても作業効率はイイと思っています。
元のパテ分量の2〜3倍のラッカーシンナーで溶いてトロトロにしてから使います。
爪楊枝の先に溶きパテを付け、毛管現象で隙間に浸透させます。(写真中央部分)
この時点では多少はみ出しても無問題。焦らず固化を待ちます。
半乾きくらいになったら、溶剤を浸した綿棒で、余分なパテをふき取ります。
工作専用の綿棒も市販されていますが、一般用の綿を指で軽くほぐしてからつまんで、マイナスドライバーのような形状にすれば
狭い隙間にも難なくフィットします。また、溝に残ってしまったものは、ケガキ針などでさらえば元に戻ります。
風防ガラスにテープを貼り始めたところです。
背景のカッティングマットは実線のマス目が1センチ角、破線が5ミリ角。細かい作業をやってます。
貼り終わり。設定の都合上、敢えて「バードケージ」と通称される窓枠の多い初期生産型を選んで組んでいますが、
1ミリ〜2ミリ角に刻んだマスキングテープをピンセットでつまんで、窓枠に沿って貼り込んでいくという集中力の要る工程です。
鋭角部分は、さらに小さい角度に切ったテープを2枚重ねて、必要な角度を出しています。
マスキングゾルを塗布しているところ。ホントは右手でやりますが、撮影の都合上左で持ってます。
ヤラセ写真です(苦笑)
マスキングゾルに水を霧吹きで1吹きして、伸びが良くなるように軽く希釈してから爪楊枝でクリアパーツに塗りつけていきます。
塗り分けの境目付近(いわゆるハジっこの部分)は真上からではなく、脇からゾルを寄せてジワジワ覆っていく感じで。
塗布終了状態です。乾くと半透明になるので塗れてるか心配になったりしますが、乾燥収縮はゼロに近い
(ほとんど影響を感じない程度)ので、塗った直後に目視できていればOKです。
万一ミスがあってもエアブラシの塗膜であればリカバーも容易です。
ガンサイト(射撃照準器)の1/72的再現方法。
タミヤのコルセアにはクリアパーツ一体のガンサイト(赤円内、指先にある部品。)が付いています。
基本、本体を黒・ガラスを無塗装で仕上げればそれらしくなるんですが・・・
大概の場合、ターゲットスコープを再現しているクリアパーツが厚すぎて、実感を損ねてしまいます。
大スケールであれば、薄い透明プラ板や塩ビに置き換えてそれなりに・・・で解決する(忠実にやればコンマ何ミリの世界なので)
ものでも、1/72スケールだと同じ方法ではやりづらいので、自己流の工作をご紹介。
@本体は、オーソドックスに黒(自分はスケールエフェクトを考慮して、明度の高いC125 カウリング色を使用)をぬります。
Aターゲットスコープの支持架を再現するため、ガラス部分の透明な四角柱を、脇の2面だけ黒塗りし、手前と奥は透明なままにします。
その状態でコックピットに組み込むと、透明樹脂の屈折の関係で(?)厚みのある支持架っぽく見えます。
キャノピー越しならば十分鑑賞に堪えると思います。
コルセアの実機資料が手元に乏しいので、模型誌の作例なんかも参考に。
これはマスターモデラーズVol.19にあった、トランペッターの1/32コルセア。
こんなの見ながら前の書き込みの照準器を作りました!
塗装の終わったガンサイトを組み込んで、キャノピー内側のアンチグレア(防眩)塗装を塗るところ。
面相筆でカウリング色を塗ってます。ガンサイトと同じ色。
モデラーの中には、こういう小面積のトコロもエアブラシする人がいますが、刷毛目が残らないよう
タテタテヨコヨコに塗れば基本的に無問題ですね。あとは塗料の適正な濃度。
尾翼上のアンテナは、ひっくり返した時などに力が掛かって簡単に折れてしまうので、タミヤセメントで固めてから
マスキングテープで養生してやりました。 ちなみに2回折ってます
3.本体の工作その2
まず脚周りの工作紹介。すべて筆塗りです
車輪と主脚の塗装です
タイヤゴム部分 C116・RLM66ブラックグレー
同ホイール部分 C8 シルバー(エナメルのフラットブラックでスミ入れ)
主脚 C56 中島系明灰緑色(インストには白塗りの指示がありますが、敢えてグレー系に振ってみました)
尾輪の塗装です
ちなみに米軍の制海権喪失により、艦上戦闘機を載せるべき航空母艦が作戦できないという設定なので・・・
不要となった着艦フックは切り取っておきます。
脚周りの組み立て、ほぼ完了した状態
あと主脚のカバーの表側を機体下面色で塗ればOKです。
主翼パーツの上下を貼り合わせたときの様子。
外形はピッタリでしたが、機銃口が上下でずれて見苦しくなってしまいました。
機銃口の径は、およそ0.8ミリ。ピンバイスでえぐって真円に近づけることにしましたが、
0.8ミリのドリルでは刃がプラを喰えないので、ひとまわり大きい1.0ミリのドリルで再度開口整形。
整形の結果、より丸くなった銃口。
径は1.2倍ちょいに拡がったので、12.7ミリ機銃から15〜6ミリ級の銃口、下手をすると20ミリクラスを積んでるように・・・見えんこともない(焦)
コルセア制作日記19
プロペラの仕上げとデカールコンプリート状態を紹介します。
写真左:プロペラの塗りが終わったところ。
ほどよく塗り分け境界がモールドされてるので、筆で黄色(C113 RML04 イエロ−)を先端裏表に塗ってからマスキングし、
黒色(C92 半つや消しブラック)をエアブラシで吹きます。乾燥後、ティッシュで軽く磨いて塗膜段差を平滑に整えました。
写真右:プロペラブレードにエンブレムのデカールを貼りました。
3枚とも同じ位置に貼るのが厄介ですが、同じ長さのテープなどをガイドにすれば位置決めが簡単になります。
今回はマスキング素材を色々試してみました。
主脚収納庫は、使い勝手の比較のためテープ、ゾル、ティッシュを使用。
エンジンも濡れティッシュを詰めてあります。
押し込み系(笑)はコレでも十分?
尾輪収納庫は濡れティッシュを詰めて、用心にマスキングゾルを上塗り。
下地に銀を吹く前に、パーティングラインにはみ出している接着剤を処理しています。
デザインナイフで軽くカンナがけ。
4.全体の塗装
塗装直前(プロペラはこの後塗りました)。
全体を銀塗装したところ。
塗装の剥がれ再現のため、ジュラルミンぽく・・・と、最近愛用のガイアカラー009(ブライトシルバー)をエアブラシで吹きました。
重ね塗りが前提なので、前回の飛燕のような、パネルごとの色変化はありません。
銀が乾燥してから、機体下面色を吹いたところ。
本来コルセアは艦載機なので、主翼の折りたたみ部分(先端部)は上面と同じ色にするべきなんですが、
陸上機としての運用を念頭にロールアウト・塗装された機体という設定なので・・・(大戦末期の日本海軍機に近いイメージ)、
主翼下面はベタ塗りとなりました。本来ライトグレイのところ、C117(RLM76ライトブルー)にガイアカラー011(フラットホワイト)を
足して明度を上げた色で塗っています。
あと主脚収納庫のマスキングを剥がしてみたら、ゾルはパーツへの食い付きが良すぎて除去に難儀しました(泣)。
早速下面色に傷が付いて、下地の銀が出てしまい、筆でリタッチしています・・・
収納庫扉は、マスキングテープに並べて貼り付け、下面色を一気に吹き付けて仕上げました。
形が似ているので、パーツの番号をあて紙に書いて間違えないようにしてあります。
下面色を残すマスキングをした状態。
境界にボケ幅が欲しいので、型紙を反故紙でこさえて輪っかの両面テープで下面色のところに貼り付けます。
紙とプラを密着させず、少し浮き上がっているぶん、吹き付けた塗料が少量紙の間に回りこんでボケた表現になる寸法。
加減は慣れが必要なので難しいかも・・・
C72 ミディアムブルーにC35 三菱系明灰白色を足して明度アップ&彩度ダウンさせた色をビーカーでこさえたところ。
ものによっては「もうちょい赤みが欲しい」とか、色々隠し味を入れますが、元々純色でないので、混色はアッサリ済ませました。
ちなみに分量は1mlぐらい。作り置きはしません。
青色塗装終了です。
濃紺との塗り分けは厳密にやらないで、広めに吹いて後で吹き重ねをして仕上げます。塗装は均一にせず、敢えてムラを残し退色感を演出。
塗り分け後にドライブラシやウォッシングをかけると、より一層歴戦の機体らしくなってくると思います。
(おそらく)ステップ滑り止め部分の塗装。デカールが付いていますが、
黒がキツ過ぎてスケール感を損ねるので、暗灰色(C116 RLM66ブラックグレー)を吹きました。
デカールをゲージ代わりにして、マスキングテープを切り出しました。これを貼ってからネイビーを吹いて剥がすという寸法。
両翼のマスキング完了。
付け根近くの小さい塗り分け(青緑色)は、水割りしたマスキングゾルを爪楊枝で乗せてあります。
上面色の2色目(C14 ネービーブルーに白を混ぜて明度を上げます)部分をエアブラシしているところ。
実際には撮影しながらハンドピースは操作できないのでヤラセ写真・・・響きが悪いな、「イメージ写真」でOK?
同じ色で後付けするアンテナも塗ります。
洗濯ばさみで保持しつつ、塗り残しも上下ひっくり返して、プー。
塗り分けが終わった機体の右側面です。 これからマスキングを剥がして、仕上がりを確認するところ。
塗り分けのリカバーの実例です。
写真左:リカバー前の様子です。紙のマスキングが上手く付かず境界に不自然な段差ができてしまったり、
吹き付けの濃淡ムラが出てしまったりしている状態(円内)。
写真中:放置するのが気に入らないので、筆塗りで滑らかな境界に修正します。
面相筆で下面色のライトブルーを薄く乗せる感じで何度もなぞり、段差やムラを消していきます。
リカバーが終わったら、デカールを密着させるためにクリアーコート(C155 スーパークリアー)を吹きます。
1/72の単発大戦機なら、レベリング薄め液で2倍に希釈して1ccぐらいの分量があれば十分だと思います。
米軍機はツヤありで仕上げても良いので、キレイに仕上げるならこれで少し磨けば塗装は終了ですね。
表面の荒れ(エアブラシで吹き付けたクリアー粒子)を均すのに、1500番と2000番の使い古しサンドペーパーで水研ぎをします。
目の細かいペーパーはウナギの秘伝のたれと同じ(笑)で、使い込むほどに味が出ます。
失敗に至る前にやりすぎ調整も出来る・・・気がする?
5.仕上げ工作
スミ入れ開始直前。
これから凹モールドに希釈したエナメル塗料(フラットブラックとフラットブラウンを1:1で混ぜた汚れ色)を流します。
含みの良い筆でペタペタと無造作に(ただし、やり残しは無いように・・・)スミを機体に乗せていきます。
主翼下面です。明るい色なのでスミが目立ちます。
少し乾いたら2度目のスミを流して色を濃い目に振ります。
はみ出したスミのふき取り終了。先ほどの直前写真と較べてみてください。
スミを2〜3時間放置して乾かしてから、ケバの出ないペーパー、キムワイプ(商品名)にエナメル溶剤を付けてふき取ります。
このとき、ふき取りの方向がデタラメになると実感を損ねるので注意。空気の流れと重力を考えてペーパーを動かします。
飛行時なら前後、長く地上駐機していれば雨垂れで上下にスジがうっすらと残るような感じに仕上げます。
上面のネイビーブルーはライトグレー系で明るいスミにしようかとも思いましたが、
ペーパーがけした微粉末がモールドに入り込んで既に白くなりすぎている感じだったので、そのまま同じスミを使いました。
全てのデカールを貼り終えたところ。
一晩乾燥させて、水性の半ツヤクリアースプレーでコーティングをかけてデカールを保護します。
デカール作業の補遺:
デカールの下にあるモールドを生かすためには、位置決めをしてからマークソフターを全体に塗り、
上からティッシュ(多少湿っているほうが失敗しません)で押さえて密着させます。
デカールフィルムが軟化しすぎてシワが寄ってしまったら、濡らした綿棒をフィルム上で転がして少しずつシワを伸ばします。
(自分はよくしくじります(苦笑))
脚関係、ピトー管、アンテナなど壊れやすいパーツの最終組付けが終われば、完成となります
6.完成品写真
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