第18回 「ハインケル He70−G」を作る。

 


最近戦闘機が続いてるので、今回は高速旅客機。  ドイツレベル1/72 ハインケルHe70を制作します。 




ハインケルHe70は、第二次大戦前の高速旅客機です。

スペイン内戦や欧州戦で爆撃機としても使用された機体なので、パーツの選択で民間機と軍用機を選んで組めますが、

外形の美しさに合う旅客機にします。 よくよく考えるとハインケル系航空機マニアなのにも関わらず、自分で作るのはこれが初めて・・・

老舗航空メーカーの優美なラインに酔いつつ、モデリングが出来れば幸せ(笑)。

 

一昨日からパーツの洗浄を始め、昨日一日中性洗剤の水溶液に漬け込み、今日は水洗いと乾燥。

爆撃機タイプや空冷エンジンタイプもコンバーチブルで作れるんですが、やはりキレイな外形優先で旅客機にします 

パッケージ。ベースの銀塗装と黒の配色がスタイリッシュで萌えます・・・ 

ちなみに「Blitz」とは、ドイツ語で「電撃」「電光」の意味。 


1.機体内部の工作

コックピットと客室の組み立てから。 機内は時間をかけずにアッサリと筆塗りです。

色も塗料瓶から直で、特に調色とかはしていません。計器盤と操縦桿はC125 カウリング色、

操縦席はC41 レッドブラウン、客席はC13 ニュ−トラルグレ−で塗り分けました。

 あと、機内色はライトグレーの指定ですが、横着をして成型色を流用。塗らずに済ませています(苦笑) 




さて制作の続きですが、中々の難物キットで予定外の苦労をしています。 
パーツの合いが悪いわ、インストとパーツの形状が合わないわ・・・ 
よほど古いキットなのか? 

客席の機内色を塗り終わったところ。 

C118 RML78 ライトブル−を筆塗りしています。

1度塗ったあとでパーツ外側からの光の透過が気になったので、コッテリと厚塗りしました。 


窓ガラスのクリアーパーツが氷砂糖のような出来で・・・透明度もへったくれもなくて、中を覗き込むと酔いそうです! 

 

部品強度を上げる工作です。 

接着のガイドのピンと穴が無いので、プラ板で「のりしろ」を作ります(写真のオレンジ色の円内)。

見えない部分なので簡単に。


2.パーツの補正その他の工作

 

足らぬ足らぬは工夫が足らぬ、というわけで、メーカーの不手際は優しいユーザーが尻ぬぐいを致します(苦笑)。 


このキットは尾部に問題を抱えており、ざっと気付いただけで

 ・垂直尾翼が変な形状をしている上に部品が足りない 

・胴体尾部の一部が欠落している 

・付いていた胴体尾部パーツも長さが不足 ・・・

と、こんなところ?

仕方ないので、形になるよう図面を頼りにプラ板とパテで復元工作を開始しました。 

キット付属の「垂直尾翼ラシキモノ」。 

胴体側の垂直尾翼と切り口が合わないので、ペンで当たりをとってからデザインナイフで切り離します。 

 

 

尾翼の増厚をしているところ。

たぶん垂直尾翼の基部にもう1パーツ必要なんですが、キットに付いていないため、0.4ミリ厚のプラ板で自作します。

現物あわせでこれまたペンで基部形状をなぞり、デザインナイフで切り出して複製。

タミヤセメントで接着して本来の尾翼の厚みを出します。

 

 

尾翼と方向舵、補填パーツを組んだところ。

尾部の追加と外形を滑らかにする整形仕上げが必要です。

 

 

 

「インストと実物がこれくらい違ってますよ」という説明写真。

 まだ胴体尾部左側の欠落を直さないと・・・


部品のすり合わせが延々と・・・ 

主要パーツで士の字に組んだイメージ。

こんなイメトレでもしないと士気が下がりそうで。 



実機は「空気抵抗を無くすために機体表面はピアノのように平滑」に仕上げられていた、とのコメントが残されており

(スピットファイアより抵抗係数が低かった・・・って何型かも分からないので根拠に乏しいですが)、

パテとサンドペーパーで滑らかに仕上げたいものです。 

 

 

機首エンジンから後ろの左右パーツを接合したところ。

思い切りズレが生じているので、固まってからデザインナイフでかんながけをして、段差を解消しました。 

 

 

客室後部のバルクヘッドも胴体上面パーツと仮組み段階で干渉してしまうので、

上面パーツが巧くはまるまでナイフで出っ張りを削ります。

 

エンジンカウル(覆い)の組み立てその1。

箱組みのガイドが無く、強度的に不安です。

形や大きさが合わない部分はパテで修正する予定ですが、カウルの中にも直角三角形の

刻みプラ板を仕込んで、建材の補強金具の要領でコーナー部分を補強しておきたいですね。 

 

エンジンカウル(覆い)の組み立てその2。

 排気管パーツが上手くはまらないので、様子を見ながら少しずつ削って

はめ込んでみてを繰り返し、納まったところで流し込み接着剤で接着します。

 

風防(キャノピー)のマスキング作業をご紹介。 

切り出し用のアルミ定規との比較でパーツの小ささが把握できますか?

操縦席のキャノピーは1/72スケールで全長10ミリ、全幅6ミリほど。

 これをマスキングテープの細切りで、窓枠部分を残してマスクします 

 

貼り込み完了状態。

1ミリに満たない幅のテープをチマチマ貼り重ねてます。

鋭角部分は1ミリ角のテープを斜めに切って45度の二等辺三角形を作り、鋭角を2つ重ねて必要な角度に合わせます。

テープの端がギザギザしてるのはテープカッターの切り口ではなくて、手作業で鋭角を出した跡です・・・ 

ブリッツのキャノピーは天井に縦方向の梁が入っていなかったので、多少は作業が楽でした。 

 

イモ付け状態の機首部分の強度を上げるため、モノコック構造からセミモノコック構造に直します。 

鋼管フレームは使えないので(笑)、ランナーのT字になってる箇所を切り取って縦通材に流用。

 

プラフレーム(仮)を内径寸法に合わせて削り、スチロール接着剤でガッチリ固めたところ。

合わせ目にちゃんとピンとダボ穴があって、位置決めと強度確保に苦労しない

国産キットの有難さと親切設計を改めて噛みしめます・・・

 

パーツ欠落のため、積層プラ板で形成したブリッツ尾部左側。

デザインナイフで余分なプラを削り、右側と同じ形状に近づけます。

 

 

欠損パーツの補填作業。 

胴体尾部パーツが足りないので、故・今井邦孝氏にならってプラ板の積層で尾部を成形することにしました。 

みじん切りにしたプラ板(自分はたまたま手持ちの透明プラ板を活用していますが、白色のでも可)

にスチロール樹脂系接着剤をたっぷり付けて溶着させます。

水平尾翼の接着部分は、はめ込み用の切り欠きが残るように、すき間を作ることを考えながらプラ板を重ねていきます。 

 

胴体の先端部分は大きめに積層プラ板を切り出して接着し、固まってからナイフで削って元の大きさに近づけます。 

 

 

尾翼の接合部分の補強準備。

以前に不足箇所をプラ板で継ぎ足したところですが、これにパーツを付ける時に「点」での接着になってしまい、

引っ張りはともかく、ずれの破断方向が強度的に不安なんです。そこで、プラ板の当て継ぎ(添え木のような感じ?)を

して「面」での接着ができるよう、のりしろになる部分を削りました。一度接着剤で溶着しているので剥がすのは難しく、

くっ付いてるプラ板を短冊状に刻み、チビチビとデザインナイフの刃を差し込んで割っていきます。 



写真中: 
上下に分割された尾翼をプラ板(点線で囲んだパーツ)で接着したところです。 

0.3ミリ厚の薄板ですが、本体との境界に出来る段差はいかんともしがたいので後からパテで均します。 

 

削り作業はおおむね完了。

これ以降はポリパテを盛り付けて、ツライチの尾部を目指します。

普段はラッカーパテを愛用していますが、ポリパテは使いこなせるかどうか!?

 

手持ちのポリパテ「モリモリ120」 

パテを盛り付けて機体の外形を修正します。これは主剤と硬化剤を練り合わせて使用するタイプです。

今回は折りたたんだメモ用紙をパレットにして、その上で作業します。

 

盛り付け完了。化学反応でどんどん固まっていくので、途中写真は撮りませんでした。

爪楊枝で練り合わせ、必要箇所へと載せていきます。手を近づけると熱気を感じるほど

反応熱が出ていたり、嗅ぐと「これヤバイわ」と直感するほどのスチレン溶剤臭。

身体に良くないのは間違いないです(苦笑)

 

胴体全景をアップで。

多めに盛り付けて、硬化してからナイフとサンドペーパーで削っていきます。

 

機首に盛ったポリパテをナイフで削っているところ。

パテを水平に削ぎ落とすようにしながら形を整えます。

奥まったところや厚みのあるところは彫刻刀も併用します。

 

 

ナイフで削った後、サンドペーパーでさらに削った状態。

400番のペーパーでガシガシ削り、ツライチに近づけます。

これから1000番、1500番と細かい番手に換えて平滑な表面を出します。

削り作業で発生するポリパテの粉末は有害なので、マスク着用必須。

あと、キムワイプ(不織布ティッシュ)を濡らして、適宜粉末をふき取りながらペーパーがけをしています。

窓開放、扇風機も風で粉が舞って困るので、エアコンをかけて静かに・・・ 

 

尾部の作業状況です。垂直尾翼をナイフで削っているところ。

まだパテの層が厚いのでボコボコしていますが、中に仕込んだプラ板が露出するまで削ります。

プラ板が見えてきたら、板の面を基準にしてパテを同じ厚みにもっていきます。 


ペーパーで削り終わったところ。

パテが足らなかったところは窪んでしまっているので、主翼に盛るときに併せて処理するか、

ラッカーパテでケアするかのいずれかで直します。尾部のパーツ不足箇所も並行してパテ盛りを削っています。

 

サーフェイサーを吹いたところ。

胴体のペーパーがけが一段落したので、目止めを兼ねてサフで表面状態を見やすくします。

 

機首のアップ。

ほぼ平滑になりましたが、まだパテとパーツの境界がツライチになっていなかったり、ヒケている部分が見えます。 



機首のアップ その2

ラッカーパテをシンナーで希釈して作った溶きパテを塗って、ポリパテ修正の不具合箇所を再修正します。

ラッカーパテが硬化してからペーパーがけ、そのあとサフで様子見・・・納得するまで作業を繰り返します

 

胴体の整形がほぼ完了したところ。

ラッカーパテが硬化してから再度ペーパーがけをして、平滑な表面を出します。

サフの層が剥けて、黄色いポリパテが見えていますが、段差はほとんど解消されています。

 

主翼と水平尾翼、胴体上部を取り付けたところ。

ようやく「士の字」の段階にまで到達しました。翼も合いが悪いので、これからまたパテで隙間を埋める

作業を再開します。左側の水平尾翼も、自分で削り出した尾部に何とか取り付けできました。

 

機首のアップ。

エンジン後部の外板にスリットらしきもののモールドがあったのを

ペーパーがけで消してしまったので、塗装前に復活させる予定です。

 

ポリパテを捏ねて主翼と胴体の接合部の隙間を埋めます。

夏場は高温のため硬化が速く、硬化剤は少なめで良いらしいんですが、

爪楊枝をチューブに突っ込んでフィーリングで主剤と混ぜてます。

 

ポリパテ盛り付け完了。

暑い中、マスク着用&扇風機+窓全開で臭い対策。

ポリパテの揮発臭は相変わらず強烈・・・我慢しながら爪楊枝をスパチュラの代用にしてパテを盛り付けていきます。

 

硬化したポリパテのサンディング。

昼寝しながら硬化を待ち、3時間経過したところでデザインナイフと彫刻刀で大雑把な整形、

さらに400番のサンドペーパーで均します。作業的には胴体の整形と同じですが、コーナー部分には

刃先やペーパーが入れにくいので、ジワジワ攻めて行く必要があります。

このあとラッカー溶きパテでヒケを直し、さらに1000〜1500番で仕上げにかかります。

 

機体下面ほぼ完成。

脚関係の出来が悪いので、飛行状態(主脚格納)で作ることに変更しました。

極楽鳥モデリングは初めてですが、安定した置き方を考えないと・・・

 

塗装直前。

主翼と胴体の合わせ目、それからコックピットと胴体の合わせ目は、

ポリパテの整形後にラッカーパテを溶いて塗りつけ、細かいヒケを直しました。


3.塗装作業

 

 

ガイアカラーのシルバーで全体塗装しました。

表面の荒れで気になる箇所があるので、ペーパーで均し、パテで埋めてから、もう一度銀塗装します。

 

主翼の上下パーツを接着したときにはみ出した接着剤が固まって、汚くなっていたのが

銀塗装で目立ってしまいました。気に入らないので、写真上部・中ほどに写ってるキズを修整します。

 

サンディング作業終了。

余分な接着剤を削り落とすためにサンドペーパーで表面をさらいます。

600番→1000番→1500番までやると大体平滑になります。

 

銀塗装の試し吹き。

最初に吹いたガイアカラーのブライトシルバーをサンディング箇所にもう一度吹いて、様子を見ます。

この状態ならとりあえずOK。外板パネルの凸モールドが消えているんですが、このまま次に進みます。

 


パテ盛りで消えてしまった発動機外板の放熱(?)スリットを手彫りモールドで復元します。

シャーペンであたりを取り、電動リューターでなぞって彫りこむんですが、フリーハンドだと

直線が出せないので、間近で見るとグズグズ。完成すれば黒塗りで目立たなくなると思いますが・・・

 

 

銀塗装2層目を吹く前に、動翼をマスキングして発色を銀ドープの鈍い輝きにとどめておきます。

 

 

2層目吹き終わり。C159 スーパーシルバーメタリックを全面に吹いて、

さらに乾燥後もう一度。飛沫で梨地になった箇所もあるので、仕上げに

1500番のペーパーで水研ぎをかけて、平滑な表面にしておきます。

 

 

機首の銀色稲妻?マークとハインケルの社名ロゴをマスキング。

説明書に中途半端な寸法指示しかないので、マスク型の製図をあきらめて

現物合わせでテープを切り出すことにしました。対象のデカールに

トレーシングペーパーをかぶせ、ペーパーにマスキングテープを貼って型取りします。 

 

 

機首の銀を残す箇所にテープを貼ります。

 

 

機首塗装前に、機体のマスキング。面積があるので、テープと反故紙を併用してベッタリと覆います。

プロペラはブレードの前面のみ銀を残すので、マスキングゾルを塗っておきます。

 

 

機首の塗装終了。C92 半つや消しブラックをエアブラシしました。

デカールの黒と光沢を合わせる必要があるので、無難な選定?

 

 

乾燥後、マスキングを剥がしてみたところ。

割とキレイにいきました。

一昼夜おいてからデカール作業に入ります。


.仕上げ

完成間近・・・デカール作業です。

コックピットとキャビンガラスのマスキングを剥がし、主翼のコードレターを貼ったところ。

銀地に黒文字で目立つので、位置決めはインストと較べながら慎重にやってます。

 

 

胴体側面のデカールを貼ったところ。

デカールの品質はまあまあですが、1ピースがやたら細長かったりして作業は厄介。

シワを伸ばすと定着位置がずれたりするので、何回かやり直して調整しました。

この後、デカール保護のためにクリアーコーティングをしますが、その前に機首の

デカールと塗装の隙間が出来てしまった部分を筆でリタッチします。

塗料のセミグロスブラックとデカールの黒インクのツヤが近いので、不自然にならずに済みました。

 

 

 

翼端灯、右翼側。主翼の上下先端部に面相筆でC50 クリア−ブル−を乗せます。

厚塗りせず、透明感を出す感じで仕上げます。

 

 

翼端灯、左翼側。

右翼と同じく、C47 クリア−レッドを乗せます。

 

 

         

 

   

 

 

 

 

 

塗装の仕上げ。

デカールと機体塗装の不連続部分などをC92 半つや消しブラックで修正しました。


.完成

ボックスと一緒に撮影。 ほぼ箱画と同じに仕上げたので、比較として撮ってみました。

 

 

プロペラ回転中。

扇風機で機首方向から風を当てて、ペラを回して撮りました。

残像がイイ感じ。 

 



 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 


 

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